輸送艦「おおすみ」


 

梅雨明けの猛暑の中、罰ゲームか?と言うくらい

劣悪な作業環境の中での仕事を終えて

ヘロヘロになって引き上げる途中、

突然、エヴァンゲリオンの一場面が現れたので

ああ、とうとう幻覚が見え始めた・・・と思った。

しかし、それは幻覚ではなかった。

そのアシンメトリーなシルエットが醸し出す雰囲気は

平時では有り得ない、緊張感を持っている。

西陽に鈍く光る船体は、

どう見ても遊覧船ではない。

もう少し近づいて見ようと、埋め立て地の中を抜けてみた。

三島港には、日頃から何万トンもの巨大な貨物船が

出たり入ったりしているから、

船の大きさでは驚かないけれど

なんとも独特な雰囲気のその船は

近寄り難ささえ感じる。

(近寄ってるけど)

船体には「おおすみ」と書かれている。

「おおすみ」と言えば、船体内にホバークラフトを積み込んでいて

そのホバークラフトを利用して、港の設備の無い所でも

上陸できると言う、特殊な任務を持った輸送艦だ。

そして、もう一つの特徴は、海上自衛隊のものではあるけれど、

船内に陸上自衛隊用の居住区を持ち、

完全武装した陸上自衛隊員330名と

90式戦車10輌または74式戦車12輌の輸送が可能である。

そして、船体および船橋は

ステルス性を高めるために、計算された傾斜と

突起物の少ない平面構造を採用している。

何故、そのような船がここに着岸しているのか?

きっと、今回の震災復旧にあたっては

かなり重要な役目を果たした事だろう。

そう言えば先日、涙ながらに復旧作業現場から引き上げる

自衛隊の様子がニュースで流れていたなぁ。

おおっ?

船の最後尾が少し開いて・・・・・

ホバークラフトの、推進用プロペラが見えている。

写真を撮っていると、乗組員の方がやってきた。

そこで、少々話を伺ったのだが、

明日は、寒川海水浴場の清掃を計画しているそうだ。

昨年のような、ホバークラフト体験乗船は無いそうで残念。

さらに話を聞いていると。これから三島の

「おいしい広場」へ焼肉を食べに行くんだそうな。。。。

じゃあ、帰り道ですから送っていきましょうと、

凛々しき乗組員を、国防色のJeepに乗せて

大福へと向かったのでした。

敬礼。