四国中央市の、土居町に「お作池」というのがあります。
周囲10mほどの、地味~な池です。
この池には、まさに日本版シンデレラとも言える
興味深い話が語り継がれているんですよ。
それは、江戸時代。1714年のことです。
西条藩主であった、松平頼致(よりよし)が領内を巡視のため
宇摩郡津根郷八日市を訪れました。
喉の渇きを覚えた頼致公は、服部幸左衛門の屋敷の門を叩き、
一杯の水を所望されました。
娘のお作さんが井戸水を汲み上げて、
うやうやしく頼致公に差し出しました。
その気品ある礼儀正しい振る舞いや人柄が頼致公の目に留まり、
西条藩江戸屋敷に出仕することになります。
これだけでも、スゴイことなんですが
この話は、さらに凄い事になりますよ。
紀州徳川家当主だった吉宗公が8代将軍となったために、
いとこである頼致公が紀州徳川家6代目を継ぐことになり、
徳川宗直と名を改めます。
お作さんも、55万5千石の大大名の側室になった訳です。
1720年には嫡男・宗将(=紀州徳川家7代)が生まれます。
他の9人の子どもたちもそれぞれ大名家の跡を継いだり、
前田家や細川家や池田家など有力大名に嫁いでいきました
つまり、あの徳川家の側室が
この土居町出身の、町娘であったと言う話です。
この地には、徳川家から様々なものが奉納され
ゆかりのものが数多く残っているそうです。
津根にある、一宮神社の境内には
水戸黄門の印籠でお馴染みの
「三つ葉葵のご紋」が入った石灯籠が残っています。
そして、このお作池の傍には、
あの時、頼致公に差し出した水が
今も、静かに流れ出ているんです。
身近なところにも、壮大なドラマがあるものなんですねぇ^^