「ノスタルジックカメラ」カテゴリーアーカイブ

引き伸ばし用レンズ


 

古いカメラを収集していると、副産物として

このようなレンズを手に入れることがあります。

 

 

このレンズは、引き伸ばし用レンズです。

フィルムから印画紙に焼き付けるときに、

引き伸ばし機に着けて使うレンズです。

 

E-Luckyという名前がついていますが

これは、ラッキーという引き伸ばし機についていたもの。

 

 

小さなフィルムから、印画紙に引き伸ばす時

鮮明な画像が必要とされるので、

様々な収差が、小さくなるように設計されています。

そして。絞りはご覧の様に、ほぼ円形。

緻密な制度を持ったレンズですので

これをカメラに装着できると良いなあと、

単純に思うのです。。。。。が、しかし・・・・

 

 

このレンズは、ピントを合わせる機構を持っていません。

引き伸ばしの時は、印画紙との距離でピントを合わせる。

というより、離れると大きく引き伸ばし、

近いと小さな画像を結ぶという仕組み。。

カメラに装着するためには、ヘリコイドという

ピント合わせをする機構が必要になります。

 

 

近接撮影用の、べローズをレンズとカメラの間に入れて

その伸縮でピントを合わすという方法が考えられますが

このレンズの焦点距離とフランジバックの関係で

べローズでは長すぎて、無限遠のピントが合いません。

 

接写用のリングアダプタを挟むという方法もあります。

しかし、これも焦点調節は出来ないので

リングアダプタの厚みを変えながら、

カメラを前後させてピント合わせをすることになります。

テーブルフォトならこれでも使えそうですが、

用途はかなり限定的。。。。

 

 

古いレンズシャッターカメラのヘリコイドを外して

流用するという手がありますが、

そうなると、取り付けのネジ径などがややこしい。

 

おまけに、カメラ側のマウントアダプタのことも悩ましい。

こうして、珠玉のレンズを眺めながら

頭を悩ますのも、まあ、

楽しみっちゃあ楽しみなんですが・・・。


ノスタルジックカメラブック


 

 

古いカメラを、集めるでもなく集めていると、

時折、カメラ関係の古~い本が手に入ることもあります。

その中でも、特に古い本をご紹介しましょう。

 

 

「ライカ判カメラ(ライカの使い方)」という本です。

ライカといえば、カメラの中では銘機中の銘機。

マニアにとっては、堪らないアイテムです。

しかし、私のコレクションにライカはありません。

ごく普通の、庶民的なカメラばかり。。。。

それでも、憧れのライカについての本となると

持つ喜びが少なからず有るんですよねぇ。

 

最終ページを見てみると、

昭和25年の本で、当時の販売価格が200円となっています。

今の物価に直すと、幾らほどの値段でしょう?

きっと数千円の価値になるんじゃないでしょうか?

ライカの使い方以外に、

いわゆるライカ判カメラのことも書かれています。

ライカ判というのは、35mmフィルムを使うカメラのこと。

デジカメ一色になるまで、

ごく普通に使われていたフィルムのサイズです。

ライカが、このサイズのフィルムを使い始め

その後、世界標準になったわけです。

 

何機種かの代表的ライカ判カメラが紹介されています。

その中に、我が家のコレクションにあるカメラも

載っていますよ。

 

それは「ミノルタ・メモ」という、

ベークライト製のカメラです。

 

昭和25年の本に掲載されているということは

当然、それ以前のカメラということ。。。。

それもそのはず、

この「ミノルタ・メモ」のボディー下部には

「Made in Occupied Japan 」の刻印があります。

つまり、「占領下の日本製」という米軍管理下の製品なのです。

 

古い技術本には、イラストが描かれていますが

これがまた、面白い。

いやいや、このシンボリックな絵画は、

ある意味、現代のアイコン美術に通ずるような気がします(笑)


コニレット


 

 

 

お問い合わせが多かったので、改めてご紹介しましょう。

 

 

コニカから発売されていた「コニレット」というカメラです。

昭和28年に発売されています。

ベークライトと言う、樹脂で出来ています。

昔のコンセントなんかに使われていた材質ですね。

まだ、カメラが高級品だった当時、小西六(コニカ)は

フィルムの需要増大とカメラの普及を考えて

撮影も簡単で、値段の安いこのカメラを発売しました。

 

このカメラのフィルムは、35mmフィルムを使用しますが

実は、専用パトローネに入っている無穴フィルムで

コニレット判という、特殊なサイズです。

小西六がフィルムメーカーだから出来た事ですが、

穴の部分も撮影に使って、少しでも大きな画像にしようとしたわ

けです。

と言うのも、ネガを引き伸ばして焼くのにお金がかかるので

密着焼きで、少しでも大きなサイズにしようという考えです。

普通の35mm判は24mmX35mm。

コニレット判は30mmX35mmです。

そして、このカメラの特徴は、

蛇腹の部分を折りたたむと・・・・・

 

 

こんなに、コンパクトになります。

ちょうど今のコンデジくらいのサイズですよ。

スマホと並べてみましょうか。。。。

 

水色とこげ茶のツートンカラーも可愛いし

手のひらサイズのスプリングカメラ。

なかなか愛らしいカメラでしょう?


Canon FTb-n


 

 

またまた、コレクションが増えました。

仕事現場へ仲間が

「家にも こんなのが有ったよ」

と、わざわざ持ってきてくれたのです。

それは、キャノンのFTbーN。ブラックボディーです。

 

 

シルバーボディーは、1台持っているんですが

黒はやはり、精悍な面構えですね。

このカメラは、昭和48年に発売されています。

発売当時の価格は、このF1.4レンズ付きで64500円です。

今の、物価に換算すると20万以上じゃないでしょうか?

 

 

当時、キャノンにはF-1というフラッグシップ機が有りましたが、

それと同等の基本性能を持った、サブ機として

このFTbが発売されました。

シャッター速度に、1/2000秒がないこと。

各種ファインダー交換ができないこと。

モータードライブが装着できないこと。

その3点以外は、F-1と同等の性能です。

 

 

1.3Vの水銀電池で、ファインダーの中の指針を動かし

TTL中央部重点測光を行うんですが、

電池は、測光に使うためだけで、

シャッターは、フルメカニカルです。

したがって、電池がなくても写真が撮れる。

ピントが合っていて、適切な絞りと

シャッター速度が選択できれば

今でも、しっかり写真が撮れます。

 

 

そして、この大きな瞳。

F1.4の大口径レンズです。

開放で、ぐっと近づけば

美しい背景のボケが得られることでしょう。

 

 

もともと我が家にあった、

シルバーボディーと並べてみました。

ブラックの方が、1000円高かったんですよ。

印象は、別のカメラのようですね。

 

 


ウエスターシックス オートロール。


 

 

西田光学というメーカーから出ていたカメラです。

「ウエスターシックス・オートロール」

昭和31年の発売です。

 

 

もともと、このメーカーはシャッターを専門に作っていて

小規模なカメラメーカーに卸していました。

大手メーカーは、自社ブランドのシャッターを持っていましたが

中小のメーカーは、サードパーティーの

シャッターを組み込んでいた時代です。
フィルムのサイズは、俗に「ブローニー版」と言いますが

ネガのサイズが6cmX6cmです。

 

当時は焼き増しのコストが高かったので

密着でも鑑賞できるこのサイズが流行したようです。

 

 

レンズボードは、ボディーから伸びた斜めの

たすきで保持されていますが

このたすきを折りたたむと、レンズはボディーに格納されます。

格納状態から、スプリングの力を利用して

スタンバイする事から、このようなカメラを

スプリングカメラと分類しています。

 

 

レンズを格納したら、こんなにコンパクトになりますよ。

この後、1眼レフが登場したことと、

35mmフィルムの性能も向上して

スプリングカメラは姿を消していきます。

 

若い女子に人気のHOLGAというカメラ・・・。

よく、雑貨屋さんに並んでいますが。。。。

 

あのカメラと、フィルムサイズが同じです。

あのトイカメラが人気のお陰で、

こんなに古いブローニー版も現役で使えると言う訳です。

 

 


オリンパス PEN Wide


 

 

オリンパスペンといえば、ハーフサイズカメラで

一世を風靡した60年代の銘機です。

 

JAM_7451

そのオリンパスペンが、大流行した頃、

世の中は、ワイドレンズブームとなった。

そこで、オリンパスも、焦点距離25mmの

ワイドレンズを投入しました。

 

もともとのペンが28mmで、たった3mmの短縮ですが

室内でのスナップや、家族写真などでは

かなり効果があったのでしょう。

 

JAM_7447

さて、このカメラは、裏蓋は蝶板式ではなく

スライドして、分離するタイプ。

蝶板より、若干不便なようですが、

安価に遮光できるというメリットがあったようです。

底部の、固定ノブを回すと

裏蓋のロックが外れます。

JAM_7448

これが、裏蓋が外れたところ。。。

完全マニュアルなので、電池室はありません。

 

絞りも、シャッター速度も、もちろんピントも

全部、自分で合わさなくてはなりませんよ。

 

JAM_7450

フィルムをセットしたところ。

あえて、ISO感度100をチョイスしました。

 

さあ、どんな写真が撮れるでしょう?

楽しみです。

 

 

JAM_7455

広角ならではの、被写界深度の深さを利用し、

ピントを2mに合わせておけば、

1.5m程から、無限遠までは合焦します。

あとは、経験と勘を利用して露出を決定する。

 

撮れる写真もレトロなんでしょうか?

それは現像後のお楽しみです。。。。


Welmy-35 M-3


 

昭和31年に発売されたカメラです。

大成光機というメーカーの製品です。

 

 

海外では、カリマー社という合弁会社が

カリマー35という名前で販売していました。

レンズはTerionon  45mm。

シャッタースピードはバルブと、1/5~1/500。

絞りは3.5~16。

スペックは標準的ですが、

無骨なスタイルが、男心をくすぐります。

カメラ女子には似合わないかも・・・(笑)

 

 

ローレット加工に、異常なほどこだわっていて

その仕上がりはなかなかのものです。

中でも特徴的なのが、

レンズの右横に付いている歯車。

 

 

この歯車を右手の人差指で回すと、前玉が回転します。

その回転が、二重像合致式距離計に連動していて

ピント合わせが出来る仕組みです。

 

 

レンズ周りの、絞り環やシャッターリングも

フィルム巻き戻しノブも、

大げさなほどローレット加工されていて

そのキラキラ感がたまらない^^

 

発売当時の価格が7800円。

品質から言うと格安です。

とは言っても、当時の大卒初任給が5600円。

今ならフラッグシップのデジタル一眼くらいのお値段ですよ。

 

 


ノスタルジックカメラ・Canon A-1


 

 

我が家には、懐かしきノスタルジックカメラが、

約70台あるんですが、

その大半は、戴き物です。

 

JAM_1507

 

そしてまた、知り合いからこんなカメラを頂きました。

 

Canon A-1というカメラ。

もちろんフィルムカメラですよ。

 

JAM_1505

オートフォーカスシステムを搭載する、

Tシリーズに移る直前のカメラで、

ノスタルジックなスタイルをとどめる、

最終型と言えるカメラです。

 

JAM_1517

レンズは、FDマウントです。

 

この後、EOSシリーズに変遷して、

レンズもEFマウントに変わってしまいます。

 

旧式のFDマウントでは、

最終型の1眼レフと言えます。

 

JAM_1522

形はノスタルジックですが、内容はその当時最新の技術が

ふんだんに盛り込まれています。

 

撮影モードは、シャッタースピード優先AE・絞り優先AE・

プログラムAE・ストロボAE・絞込み実絞りAE・

さらに手動撮影の6モード備えていますよ。

 

セルフタイマーも、10秒と2秒が選択できます。

 

JAM_1524

ASA感度設定メモリを見ると、

最高12800まで刻まれています。

 

そんな高感度フィルムがあったんですね。

 

 

JAM_1527

シャッターの駆動や、測光は全て電子式で、

電池が切れたらただの箱。

マニュアル撮影すら出来ないのが欠点です。

 

今のデジカメでは、それが当たり前ですが、

この当時は、電池に全て頼ることに、

かなり違和感があったようですよ。

 

そんな、風潮を跳ね返すために

世に出した広告がこれ!

 

全画面キャプチャ 20160106 193805

なんと!今話題のスターウォーズを髣髴とさせる広告。

最初のスターウォーズ、エピソード4が公開されたのが1977年。

 

CanonA-1が発売されたのが1978年。

 

今なら、これはパクリだと大騒ぎになっているかもね(笑)

 

 

 


パールⅡ型


 

我が家にあるカメラの中で、一番古いのがこれ。

昭和22年に作られたカメラです。

 

 

メーカーは、「小西六写真工業」。後のコニカですね。

カメラの名前は「パールⅡ型」

この形のカメラを総称して「スプリングカメラ」と呼びます。

 

 

通常は、このように折りたたんで携帯します。

アクセサリーシューの横にあるボタンを押すと、

スプリングの力で前蓋が開き、

上の写真のようにスタンバイ状態になるのです。

 

 

レンズはヘキサー75mm。f=4.5。

フィルムは120mmの、通称ブローニー判を使用します。

シャッター速度は、バルブと1秒から1/500秒。

絞りは4.5~22までとなっています。

 

 

ちょっと読みづらいですが、ボディー側面に、

「MADE IN OCCUPIDE JAPAN」と書かれています。

つまり、占領下の日本で作られたという意味です。

一昨日、天皇陵陛下や安倍総理も出席して、

「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」というのが

憲政記念館で開かれました。

サンフランシスコ条約発効をもって、

日本に主権が戻ってきたわけですが、

終戦からそれまでの7年間、あらゆる工業製品には、

この”OCCUPIDE JAPAN”の文字が刻まれていたわけです。

 

 

その後、れっきとした「MADE IN JAPAN」が、

日本を世界の冠たる工業国にに発展させたわけです。

しかしその後、コニカは2003年にミノルタを吸収し、

コニカミノルタとなりますが、

2006年には、カメラ部門をソニーに譲り、

カメラ事業の幕を閉じることになってしまいます。

今、日本のメーカーから出ているあらゆるカメラを見ても、

MADE IN JAPANの文字がないのが、残念で仕方ありません。

 

 

 


ポラロイドは古くて新しい


 

 

ノスタルジックカメラは、黒とか銀のメカニカルなもの。。。。

そう言う固定観念を、私自身持っていたから

このカメラは、手に入れた当時は

それほど重きに感じてなかった。。。

ポラロイド1000というカメラです。

 

しかも、純正のフィルムが製造中止になって、

サードパーティー製も、まとまった数量を

個人輸入する方法しかない。

だんだん、カメラケースの奥の方に

仕舞い込まれるようになっていました。

 

ところが、時は流れ、世界はネットでつながるようになり

通販で、簡単にフィルムが流通するようになると

徐々に、ポラロイドカメラの人気は復活してきました。

 

女子カメラの人気や、トイカメラの流行も

この手のカメラの復活に力を与えました。

 

 

人気の秘密は、すぐ写真が見られることもあるけれど、

その一発勝負の、出会い頭的作品作りが

スリルとサスペンスに富んでいること。。。

 

そして、独特の色合いの写真が

日常を、非日常に変えてくれる。

 

 

このカメラは、ポラロイドの中でも、

特に簡単操作で取れるようになっています。

レンズは、30mmくらいの広角で

被写界深度の深さを利用した固定焦点。

 

あまり近づくと、ピンボケになります。

操作は、露出補正だけ。

 

明るめと暗めの補正ダイヤルを回して

あとはシャッターを押すだけです。

 

 

実際に写真を撮ろうと思ったんですが、

もう長いあいだ、入れっぱなしのフィルムは

既に電池切れでした。

 

このカメラのフィルムには、電池が内蔵されていて、

その電池でカメラが動作する仕組みです。

せっかくなので、amazonでフィルムを注文しよう。

そして、この年末、楽しい写真を撮ってみよう。

 

昔はダサいと思っていた、この虹色ライン。。。。

今はなぜか、オシャレに感じるんですけど

時代が変わったのでしょうか?

それとも、私自身の何かが変わったのでしょうか?